クリーピングベントグラスの冬休み

寒い冬でも凍った朝でもボールをぶつけられ踏まれ、時にはパターで叩かれてしまうグリーンのベントグラスはちょっと可哀想だなと思いつつ、自然条件下でのびのび育てたベントグラスを眺めていた。

このしなやかな匍匐茎があるのがクリーピングベントグラスの特徴のひとつ。ボールが跳ねずスムーズに転がるように仕立てるにはとても緻密な管理作業が必要で、暖かい時期は毎日の刈込と時々の施肥施薬が必須だ。お手本のひとつとされているオーガスタナショナルのグリーンは当然素晴らしいが年中無休ではないし、途方もないコストをかけている。たかが1万円くらいのプレーフィーの積み立てで賄えるようなものでないことは想像つくだろう。

ベントグラスだって寒い時は育たないし、クールシーズングラス(C3植物)だから人間が汗かくような季節も実は苦手だ。年中無休のゴルフコースで人間の我儘に付き合うのも大変だとおもう。そんなベントグラスのちょっとした冬休み、たまには休憩させてやってもいいんじゃないかな。

この記事を書いた人

八和田徳文

Cultivator/Norifumi Yawata
ゴルフの仕事に携わって四半世紀。ゴルファーの一人として、ゴルフコースデザイナーの一人として、ゴルフに纏わる想いを綴ります。肩の力を抜いて愉しめばゴルフはもっと面白いはず。
ゴルフコース設計家・ゴルフ文化愛好家・芝生管理アドバイザー