0か100か

もう15年以上前に検証用に作ってもらったウェッジです。

左はバウンス角が0°(ゼロ)。右が20°です。極端なものじゃないと違いがわからん!ということで特別に作っていただいた。バウンスゼロは削ればいいじゃないかと思うかもしれませんが、これは削った上にロフト刻印を入れ直し、クロームメッキまでかけられています。20°のものは溶接でソールに肉盛りをした上で削り、刻印をしてメッキをかけている。

たかが一雑誌の実験企画にここまで対応していただいたのかと、今更ながら感謝の念を新たにしている次第です。

トーナメント会場に赴き、当時賞金女王に君臨していた不動裕理プロにもこの実験クラブを打っていただきましたが、不動プロはバウンス0°でも、20°でも同じように綺麗にボールをナイスアウトし、「コレ、何が違うんですか?」と首を傾げていました。バウンスが全然違うんです、と言ったら、「バウンスって何ですか? 私のウェッジにも付いてるんですか?」と。プロの使用するウェッジを見せてもらうと、BOUNCE8°としっかり刻まれていたのを思い出します(笑) その時はテーラーメイドのracウェッジでした。

不動プロは、バウンス0°だろうが綺麗にソールで砂を飛ばしバンカーアウトしていましたが、誰もがそう出来たわけではありませんでした。名前は書きませんがそこまで成績がよくない女子プロにも打ってもらいましたが、バウンス0°ではざっくりで出ない。バウンス20°ではホームランして練習グリーンを超えるほど飛ばしてしまう人も、実際は何人かいました。

上手い人(よい成績を上げている人)は、やはりバウンス(ソール)を活かしたショットができているんだな。ソールを使えない人にはバウンスが必要なんだな。結局はそういう結論になったと思います。

10数年ぶりに懐かしの実験クラブに遭遇し、取材時の記憶が鮮明に甦ってきました。当時は隔週とかの発刊ペースなのにこういう手の込んだ実験クラブまで用意し、独自にいろいろな検証企画をやっていたんです。今の自分がひどくサボっているように感じます(汗)

そして、多くのメーカー担当の方に支えていただいてたのだと改めて感謝する次第です。その節は面倒な企画にご対応いただきありがとうございました。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在