秋深し

樹皮に飲み込まれつつあるウッドティ

この秋、札幌GC輪厚を散歩した。言わずと知れたトーナメント開催コースだが、秋の最終スタートではその熱気は想像もできない。ポトリと落ちる朴や柏の葉音さえ大きく聞こえるほど、静かだった。

かつてここでトーナメントを戦ったプロたちは、12番ティ前方の柏の古木にティペグを刺していったという。最終局面に向かうための験かつぎだったろうか。

今もよく見れば、朽ちたティペッグが樹皮の一部と化しているのをみることができる。

木は葉を茂らせ、葉を落とし、また葉を茂らせながらプロたちの想いを飲み込んでいく。プロゴルフ史に残る名勝負だけでなく、誰も知らない無数のゴルフが輪厚の自然の中に溶けているような気がした。

確かに此処で戦った人たちがいる。ゴルフの秋は、深いのだ。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在