この秋、札幌GC輪厚を散歩した。言わずと知れたトーナメント開催コースだが、秋の最終スタートではその熱気は想像もできない。ポトリと落ちる朴や柏の葉音さえ大きく聞こえるほど、静かだった。
かつてここでトーナメントを戦ったプロたちは、12番ティ前方の柏の古木にティペグを刺していったという。最終局面に向かうための験かつぎだったろうか。
今もよく見れば、朽ちたティペッグが樹皮の一部と化しているのをみることができる。
木は葉を茂らせ、葉を落とし、また葉を茂らせながらプロたちの想いを飲み込んでいく。プロゴルフ史に残る名勝負だけでなく、誰も知らない無数のゴルフが輪厚の自然の中に溶けているような気がした。
確かに此処で戦った人たちがいる。ゴルフの秋は、深いのだ。