
ロジャー・クリーブランド氏に日米ゴルファーのアイアン観のちがいについて聞いた時、次のように話していた。
「日本のゴルファーは明確に米国のゴルファーとは違うアイアン観を持っています。その源泉となっているのがジャンボ尾崎、中嶋常幸のパーソナルアイアンだと思います。この2モデルが高く評価されたため、この2モデルに近いアイアンの形状こそが日本では優れたアイアンの証しとされているのです。だから私は日本市場向けのアイアンを監修するときはジャンボ尾崎を意識するんですよ」
この話を聞いた時、なるほどなぁと思うと同時に、TN-87開発のきっかけを作ったのもジャンボモデル(MTN3プロモデル)なのだから、つまりはジャンプロこそが国産アイアンの父ということになるな、と思ったことを思い出した。
そのジャンボ尾崎に影響を与えていたのは、自身のモデルを開発する前に使用していたスポルディングやホーガンアイアンなわけだが、それらのエッセンスを取り入れながらも、番手毎の機能性を追求し、とりわけ8番からサンドウェッジ領域で独自のヘッドシェイプを作り上げていった点で、ジャンボ尾崎とブリヂストンスポーツの功績は非常に大きいといえるだろう。
現代では番手別設計は当たり前だが、いまだにジャンプロ以上に7番と8番の間に明確な差を付けたモデルはないのではないだろうか。感覚的には別モデルをコンビネーションしているようでいて、セットとしてのつながりはきちんとある絶妙なバランス感。こういうものはAI設計でできるものではなく、プレーヤーの審美眼、的確なジャッジがあってこそ実現できる。
同じモデル名で展開されていたから気づいていないだけで、ジャンプロはいま主流の「コンビネーションスタイル」で構成されていた、先進モデルだったわけだ。
ロジャーさんに言われるまで意識したことはなかったが、自分が使ったり、見てきた国産アイアンのほとんどにジャンプロのDNAが入っているのだとすれば、確かに自分もジャンボの影響を受けているといえる。ゴルフ道具にそのような影響(遺伝子)を宿すプレーヤーは、世界的にももう二度と現れないだろう。
ジャンボさんの審美眼が、私にもあなたにも組み込まれている。
ちなみに、米国ゴルファーのアイアン観に影響を与えているのはマグレガーアイアン、つまりジャック・ニクラスだそうです。
