
90年代、キャロウェイゴルフの「S2H2メタル」の3wがPGAツアーで人気だった。フレッド・カプルスなどが長らくキャディバッグに入れ、変えようとしなかったのだ。当時は「ビッグバーサ」や「グレートビッグバーサ」が登場してドライバーは完全に大型化の時代に突入。しかし、プロは小さな「S2H2メタル」を手放したがらない。こっちの方が飛ぶとさえ言う。キャロウェイゴルフの開発総責任者、リチャード・C・ヘルムステッター氏はカリフォルニア大学サンディエゴ校の物理学教授を訪ね質問した。なぜ、この小さなヘッドが愛されるのか?と。
「小さなヘッドの方が実効的なウェイトがあるんですよ」
物理学教授はそう言ったという。同じ重さのヘッドなら、薄肉にして重量を周辺に分散させた大型ヘッドよりも小さくて重心周りに重さが集中している小さなヘッドの方が、物体のエネルギーをロスなくボールに伝達することができる。トッププロのようにスキルが高く、芯を外す確率が低いならば、小さいヘッドの方が飛距離が出る可能性があるというのである。
普通のアマチュアはもちろん常にスイートスポットで打てるわけがない。だからこそ、ヘッドを大きくして周辺重量配分を進め、慣性モーメントを大きくすることで平均飛距離を伸ばすことができる。それを「ビッグバーサ」や「グレートビッグバーサ」の成功で証明したのがキャロウェイゴルフだった。

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2026年の2月。
BUTUGUと呼んでいるプロトタイプパターをグリーンで試しながら、私はディックさんの言っていたS2H2の回顧録、実効ウェイトの話を思い出していた。
ゴルフにおいては小さいは「難しさ」の象徴である。BUTUGUを構えた人も、100%「ちっさ!」「こわい!」「難しそう!」「当たらないでしょ!」と尻込みをしてしまう。しかし、その大きさに対する怖さは、数発打てばなくなるようだ。なぜなら、小さくても当たるし、ラインに乗るし、何よりフィーリングが心地いいからだ。
もうひとつ注目していること。それは誰もBUTUGUを持って「軽い!」と言わないことだ。詳しく書くと先入観になるから書かないが、パターとしては一般的とは言えないスペックである。普通ならまず、「軽い!」となるところだが、そうなっていないのはなぜか?
私はそれも実効ウェイトの違いなのではないかと思い始めている。手のひらにパターを乗せた時に感じる重さが、大型ヘッドよりもズシリと感じやすい。大型ヘッドは、ヘッドのお尻に重さを感じる。それは言い方を変えると手のひらから外れたところにある重さである。一方、BUTUGUの重さは手のひらのおいしいところ、その一点で感じることができる。
外にある重さか、手のひらに乗っている重さか。その違いは自分がこのパターを支配できると言う安心感、自信となって表れる。
表れる?ホント?(笑)
