GEで繋がるパターの歴史

1903年の3月24 日にPATENT取得と刻まれたアルミヘッドのセンターシャフトパター。これは「SCHENECTADY PUTTER」というクラシッククラブファンの間では有名な一本である。なぜならこのパターは30年という長きにわたって英国ゴルフ協会が「使用禁止」としてしまった曰く付きのモデルだからだ。

ことの発端は1904年の「全英アマチュアゴルフ選手権」。この年、米国人のWALTER・J・TRAVISが優勝し、歴史上初めて栄誉ある全英アマのタイトルが大西洋を渡った。1904年といえば、我が日本で最初のゴルフコース、神戸GCが開場した翌年である。ゴルフといえば英国のもの。米国とて今のようなゴルフ大国ではなかった時代だ。それだけに公式競技のタイトルが海を渡ってしまったことは大事件だったわけである。

WALTER・J・TRAVISはセンターシャフトのマレットパターでパットを決めまくり、英国人の手からタイトルを掻っ攫っていった。この屈辱をぶつけるかのように英国ゴルフ協会は、この「SCHENECTADY PUTTER」を使用禁止としてしまったのだ。この措置は1933年まで解かれることはなかったとされる。

高反発ドライバーなどの規制をみても、ゴルフのルールとは常に後付けだ。よく飛ぶ、よく入る。そんな結果をわかりやすく示してしまったモノ、技術ほど「それはここから先は作っちゃダメ!使っちゃダメ!」となってしまうのだ。「SCHENECTADY」はその理不尽ルール規制の最初の事例と言えるのかもしれない。

ちなみにこのパターはGE社に勤務していたA・W・KNIGHTという人がデザインした。GE社といえばあのKARSTEN SOLHEIMを輩出した米国の電気メーカー大手だ。ゴルフの歴史に名を残すパターが、GE社で繋がっているのだから不思議な縁である。

KARSTENがクラシカルなT字やL字の時代を終わらせるべく、パター開発を始めたのが1959年である。果たしてKARSTENは、そのT字パターを56年前にGE社の先輩エンジニアが考案したことを知っていただろうか? SCHENECTADYはGE社のあったニューヨーク州の地名だそうだから、KARSTENも気づいていたかもしれない。ヘッドにパテント刻印もあるから調べるのは容易だったはずだ。

このSCHENECTADYは、たまたま近所の知人が我が小屋に突然持ってきてくれたものだ。BUTUGUパターの開発中の身にとっては、非常に気になっていた曰く付きの「入り過ぎる」パターである。構えてみると、なるほどと思うところもあった。それはまたここで書いてみたいと思う。

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在