やさしさと扱いやすさのあいだで

このトゥ先下を切れ上げるような削りは誰がやったんだろうと考えていました。

トゥの形をラウンドに削るのではなく、面取りをするように落としてある。実に素晴らしいと思います。

ゴルフクラブについて最近は、ヘッドの「奥行き」について考えることが多くなっています。奥行きというのはシャフトの挿入ライン(中心軸)から、どれだけバックフェース方向にヘッドのボリュームがあるのかということです。ソールの幅と言ってもいいかもしれません。

一般的に「やさしい」クラブというのはヘッドの「奥行き」があるモデルのことを指します。ドライバーなら大きく後方にストレッチバックされているもの。アイアンならワイドソールなもの。パターならフランジの大きなマレットタイプがこれに該当。「やさしい」というのはお尻(ヘッドの後方)が重たいクラブのことなんだなって思います。

その方が、ミスヒットした時に「フェースの向き」が変わりにくい。それがきっと「やさしい」ということなんです。

では「扱いやすい」のはどのようなヘッドでしょう。最近、ソールのフェース側にウェイトを配置しているドライバーが多くなってきていますが、それが一つの答えなのかなと思います。「やさしさ」を追いつつ、「扱いにくく」ならないように。お尻が重たくなりすぎないようにバランスをとっているわけです。

「それならヘッドの大きさを小さめにしたり、ソール幅を狭くすれば解決なんじゃね?」とも思いますが、これは「扱いやすさ」を優先する者の考え方なのかもしれません。

いずれにしても、「やさしさ」と「扱いやすさ」のバランスをどう考えるのかが、ゴルフクラブ選びの面白味となってきます。「扱いやすい」クラブは狙ったところにボールを打ちやすい、と考えれば、「ミスヒット」に対する過度なやさしさはいらないのかもしれませんし。過度なやさしさ狙いが「扱いにくさ」に繋がるとすればなおさらです。

久しぶりにアイアンのようなパターを使ってみて「やさしさ」と「扱いやすさ」について、より深く考えています。どこまでいっても大切なのは両者の「バランス」であり、その按配は人それぞれだということも明白。だからこそ、人のインプレを気にするのではなく、自分自身でさまざまなゴルフクラブを使ってみる必要があるのだと思います。

中庸なモデルを何本試しても、その結果は微差。自分にとって心地よいバランスのゴルフクラブを見つけることは難しいかもしれませんね。

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在