ゴルフの環境適応

夏が近づくとグリーンキーパーは吐息を漏らす。生育適温を超えた常識外の気象条件のなかでベントグラスの低刈りを続け、転がる硬いグリーンを求められ続ける。少々異常な状況だ。

ちなみにベントグラスの生育適温は米国の教科書によれば10~16℃。カーエアコンの設定より低い温度が好きな芝生を真夏に育て、踏み固め、ボールをぶつける、結構厳しいことをしているのだ。

いま全米オープンが開催されいているパインハーストNo,2コースも前大会まではベントグラスを生やしていたが、大会直後にウルトラドワーフバミューダグラスに植え替えている。24~29℃が最適地温の暖地型芝草(C4植物)は現地画像からも見ての通り元気そのものだ。

グリーンもウェストエリアも環境配慮型、無駄な労力や資材の削減を試みている。オリジナル設計者であるドナルド・ロスの生まれ故郷に生える芝草ではないけれど、ゴルフの精神やデザインは少し原点回帰傾向であることを、きっと喜んでいるだろう。

興味が湧く方は少ないかもしれませんけれど、原文ママのリンクを貼っておきますね ⇒ U.S. OPEN/Pinehurst No. 2

 

この記事を書いた人

八和田徳文

Cultivator/Norifumi Yawata
ゴルフの仕事に携わって四半世紀。ゴルファーの一人として、ゴルフコースデザイナーの一人として、ゴルフに纏わる想いを綴ります。肩の力を抜いて愉しめばゴルフはもっと面白いはず。
ゴルフコース設計家・ゴルフ文化愛好家・芝生管理アドバイザー