この季節になるとコースで着用することのないポロシャツに袖を通したり、あれこれ思い出してみたりする。1968年開催のマスターズは11アンダーで並んだ2人のプレーオフのはずが、あることで勝者が決まる。なんとも後味の悪いような文章がウェブ上にもあったりするが、当日の映像を見ると、その言葉の稚拙さを感じるだろう。
派手さばかり目立ついまどきのものには感じにくい〝ゴルフの精神の美しさ〟がモノクロ時代の映像には正しく映し出されていた。バミューダグリーンの転がりは想像するに8フィートにも届きそうにないけれど、なんら遜色のないゲームフィールドである。ボブ・ゴルビーがグリーンジャケットを羽織るまでの始終を見届けて欲しい。御年92歳になった彼は、64回目のマスターズを愉しみ、53回目のチャンピオンズディナーを口にする。
つづく