朝露がのった菜花を摘んで口にした。摘むことの躊躇いがゼロではないけれど、その目的もあって育ててきた植物だから、罪悪感は少し薄まったのだろうか。柔らかそうなところを選んで適量だけ持ち帰り、洗い、火にかけた。爽やかな苦みが持ち味の菜花、大根と白菜のそれぞれに風味が違う。小松菜の菜花は少しの辛味が混じりまた美味い。
残念なことに、知性の生物であると勘違いしている人間が生み出した最先端の科学技術を以てしても、この菜花の一株さえ生みだすことは未だかなわない。適当なものを探してきては遺伝子の一部をいじるくらいが関の山。もう少し謙虚な気持ちで世界環境を想像してみたら如何だろうか。
命はみな平等に美しい。