馴染む

最初、持ち手の指置きの縁などにザラザラ感があるが、これも使い洗いを繰り返すうちに滑らかになっていく。

出西窯のモーニングカップを新調した。まずやることはお湯を張って一晩置いておく。これは釉薬の割れ目(貫入)から水分が本体に染み出していってしまうから。買ってすぐにコーヒーなどを注いでしまうと、濃い色が本体に染み付いてしまい取れなくなってしまうのだ。だから水やお湯から使い始め、十分に給水させてから濃い色のもので使うようにするといいそうだ。

もうひとつ。陶器は買ってすぐに指の腹で全体を撫でてみて、ざらつきを感じたところは粗めのスポンジで引っ掛かりを滑らかにするようにしている。とくにカップの持ち手付近など細かいパーツ部分には釉薬のバリのようなものがあることが多い。ここをひと撫でふた撫でしておくだけで随分手持ち感が違うのである。

自分で何かを作る時もそうだが「モノ」は使っていくごとに良くなっていくのが理想で、新品の状態が見た目にも使い勝手的にも、最も理想から遠い状態であると考えている。新品の良さは誰の色もついていないこと、くらいだろうか。

自分がモノに馴染んでいく、自分にモノが馴染んでくる。どちらもあると思う。馴染む余地があるモノ、馴染む余地のある人。そういうものに憧れる。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在