相応

目土ステーションに立てる「看板」。3年ほど立てば水分を吸って膨らみ、下記のようになるようだ。最初は一枚板で試作したが、プリントの乗りが悪いのと制作コストがかかるのとで結局人工材みたいなもので作った。そして、風雨にさらされ続けた看板はこのようになって朽ちていく。一枚板だったら、樹脂だったらこうはならんのに、とも思うがそれは「できなかった」こと。

数年間、ゴルフコースで風雨にさらされたTURF AID看板。一斉に交換時期を迎えている

新しいのはないの? と問われても、そう都合よく在庫があるものではない。なぜって、この看板はそんなに売れるものではないからだ。前回、工場ミニマムの100本(50セット)を売り切るのに、どのくらいの時間がかかったのか。専用の梱包材を作って、配送料をかけて。買ってみようかな、と思ってもらえる価格にするためには結局身を削った。同じことを再びやろうと思うかと言えば、即座にNO!。 今の諸事情ではできないというのが本音だ。

思いつきで、一番最初に手作りしたもの。

思えば、ペンキを塗って、釘を打って、手描きで文字を入れてとやって作った一番最初の看板が、最も「相応」だったと思う。もっと広めたい!綺麗なものをラクしていっぱい作りたい! そう思ったところから「相応」のモノではなくなった。在庫があるという概念が初心を歪めていった。上みたいな愚痴めいたことを思うようになる。まったくもってピュアじゃない。

最初に手作りした看板を久しぶりに見て、個人的にはコレがベストだったと思った。シンプルで、目に留まりやすく、可愛らしさがある。なにより、気持ちが入っている。

初心に還ろうと思った。余裕がある時に、縁あったゴルフ場に、欲しいと言われたら手作りしてお納めする。それが「相応」。こういうことは「負担」「リスク」と思ってはやっていられない。好きでやってること。商いではないのだ。

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在