Winter Rules

自生している芝生は日本の気候に適しているのだが、気温が低い季節は葉は育たない。逆に言えば年中育つ植物は皆無であって、常緑植物でも季節限定で育ち、あとは色を保っているか季節外れに枯れ落ちる。畑作植物とも違い、何十年もそこに育つ芝生は結構苦労していることを想像して欲しい。

 

理想的な弾道を希望したら必然である

冬枯れした芝の葉は踏圧に耐えることがなく

潰れ地際に横たわる

そのうえにあるゴルフボールを

理想の弾道で飛ばそうと希望するならば

クラブヘッドの軌道は地面に潜る

あたりまえのことだ

 

晩秋から初夏までは日本の芝は育たない

地面の下で枯れた葉の鞘のなかで

じっと夏を待っている

 

地面をほじくるのを行儀が悪いとは言わない

せめてディボットにあるボールは

ライの良い場所にリプレイスして欲しく

ほじくったなら少しの砂くらい補充して欲しい

 

いまどきはゴルフコースにそれをする

キャディーもコーススタッフの余裕などはない

相応のプレイフィーを払うものがいないから

ゴルフ場はどんどん疲弊する

弱いものにしわ寄せがくるのは世の常である

 

ゴルフ先進国であり芝生管理先進国である米国のウィンタールール

そろそろ春が来るけれど

芝がちゃんと生えそろうのは未だ2か月くらい先

暇と心がある人は目を通してみて欲しい

米国のウィンタールールズ → Winter Rules

 

刈られても踏まれても薬をまかれても千切られても、この野郎!なんて言うこともなくそこに生えている芝生。残念ながら彼らには人間に届く言葉は持ち合わせていない。命ある限りじっと耐えるしかない運命なのである。

 

この記事を書いた人

八和田徳文

Cultivator/Norifumi Yawata
ゴルフの仕事に携わって四半世紀。ゴルファーの一人として、ゴルフコースデザイナーの一人として、ゴルフに纏わる想いを綴ります。肩の力を抜いて愉しめばゴルフはもっと面白いはず。
ゴルフコース設計家・ゴルフ文化愛好家・芝生管理アドバイザー