いのち削られて

 

サラブレッドが走るために生まれてくるようスポーツターフに供される芝草も

研究に研究を重ね優良選抜されたものだけに名前が与えられ

種苗圃場で量産され市場出荷されてスポーツフィールドに植えられる

 

そこに生まれてこなければ無い命かもしれないけれど

屋外球技で一番小さなボールを転がすために日々低く刈り込まれ

生きられる限界値まで追い込まれて踏みしめられて

ほんの数ミリの世界で光合成しながら輝いている

世話するスタッフも細心の注意をはらい

みどりの葉を0.1ミリ単位で微調整しながら刈込んでいる

 

ゴルファーに均質な芝面を提供するために頑張っている全てのことに

ほんの少しでも感謝の気持ちが生まれたら

ボールマークくらいは直してあげてくださいね

 

放置育成すれば数十センチにも葉を伸長できる芝草は、たまたま108ミリの穴を掘られるグリーンとなる場所に植えられた。日々数ミリの高さに仮揃えられ、踏まれ、ボールをぶつけられ、それでも静かに耐えている。今度生まれてくるときは~と思っている芝生がいても不思議では無い。

 

 

 

 

この記事を書いた人

八和田徳文

Cultivator/Norifumi Yawata
ゴルフの仕事に携わって四半世紀。ゴルファーの一人として、ゴルフコースデザイナーの一人として、ゴルフに纏わる想いを綴ります。肩の力を抜いて愉しめばゴルフはもっと面白いはず。
ゴルフコース設計家・ゴルフ文化愛好家・芝生管理アドバイザー