日本独自の係数

46gほどのゴルフボールと比較して10倍ほどある鉄球を頭上くらいの規定高から自由落下させた衝撃が、実際のグリーン表面が落下ボールから受ける衝撃強度。他の類似計測器もおおよそ同様であるのに対し、日本だけ異端な土壌高度計測器であることは認識しておいて損は無い。

 

コンパクション24   グリーンスピード11

その係数の意味するところ

業界人でも正しく知る人は少ない

 

なんとなく数字が大きいほうが格好いい

そう思うのはゴルファーだけに非ず

それが実態だろう

 

R&AでもUSGAでも使われない日本独自の係数

トーナメント会場のグリーンコンディションだけでなく

日常営業の品質表示のごとく示される

その係数の独り歩きの誤解は止め処なく続く

 

ボールのファーストバウンドの衝撃吸収力は

コンパクション係数では示すことは出来ず

そもそも球面と形の違う先細円錐と

貫入抵抗値が大きく違う理由も認識されることもなく

日本だけでは其れらしい数字として独り歩きする

 

20を切る設定は非現実的であり

25を超える設定も超限定的であり

凡そ21から23あたりにならざるを得ない

そんな計測係数に右往左往する必要性はなく

掲示する意味合いも曖昧である

 

そもそもゴルフボールは垂直に落下することはなく、60度前後の角度で落下する。表面の滑り抵抗値が高ければ芝は捲れやすくなり、表層が柔らかければ沈み込みは深くなる。本当にガラスのようなグリーンだと凹むことなく跳ね返される。
左端部がグリーン表面で右が地下深層部。表面の柔らかさは砂の粒度分布と土壌含水比と芝生の根張り、それに締固め密度が大きく影響する。芝の健全育成と葉身表面の緻密さと平滑性を整えるのは、並大抵の技術でないことが想像して貰えたら、技術者のひとりとして大変うれしい。

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

八和田徳文

Cultivator/Norifumi Yawata
ゴルフの仕事に携わって四半世紀。ゴルファーの一人として、ゴルフコースデザイナーの一人として、ゴルフに纏わる想いを綴ります。肩の力を抜いて愉しめばゴルフはもっと面白いはず。
ゴルフコース設計家・ゴルフ文化愛好家・芝生管理アドバイザー