美品の理由

新品同様のフェースと、使用感満点のフェース。どちらを買う?

いろいろパーシモンのFWを買って試してみたが、どうも最初に打った本間ゴルフの4Wが一番自分に合っているように感じた。「パーシモンのFWって意外にいいぜ!」とChoice誌の記事に書いたこともあったけれど、「パーシモン」と一括りにしてしまうのはやはり乱暴であった。

「この4Wいいぜ!」と書くべきでありました。

過日、ネットークションでまったく同じボロンカーボンシャフトの入った4Wを見つけたので落としてみた。落札代金は500円。送料は2000円弱であった。

左が今回買ったもの。右が気に入って使っているもの。

届いた4Wをじっくりみてみたが、シャフトもソールプレートもフェースインサートもお気に入りと同じ。「同一モデル」ということで間違いない。しかし、構えてみると印象はかなり違った。今回落札したものの方がヘッドが厚めでコロンとして見えるのだ。

今回落札品はクラウン中央からトゥへの落とし込みが「急」に見える(右)

さすがは天然素材、職人の手仕事による道具である。同じように作っても同じにはならない。また、個体差があるからこそ細かな選択肢となり、万民にフィットする可能性がある。これは現代のゴルフクラブでもそうだが、同じヘッド、同じシャフトの付いた「同じモデル」でも、複数本店頭に並んでいるのであれば、全部、一本残らず構えてみるべきである。そうすると「同じモデル」の中にも構えやすいもの、構えにくいもの、自然に構えられるもの、違和感を感じるものがあることがわかるはずである。

パーシモンの時代は、むしろ違って当たり前。だからこそ、「これ最高!」という1本に巡り合った時は、長く使い続けることができるように丁寧に扱い、プレー後のメンテナンス、補修を怠らなかったのである。

トゥへの落とし込みが急なぶん、クラウンの最高点が強調されて高く見える。ややディープに見えるので少し難しさを感じてしまう。

パーシモンのクラブを買っては試してわかって来たのは、綺麗な状態の出物が「いいクラブ」であるとは限らないことだ。打ってみると、少し使い込まれているくらいの痛んだ状態のものの方が打感も心地よく、結果が良かったりすることが多いのだ。

綺麗に保たれているパーシモンは、なぜ、使い込まれずに今に残ったのだろうか? 今回落札したものは完全なる未使用品ぽいが、中には数発打っただけでお蔵入りとされてしまった個体もあるだろうと思う。パーシモンFW を実際に使う気があるなら、ソールやフェースに打球した痕跡があり、フェースのいいところに当たっている感じがある個体を選ぶといいかもしれない。美品がすなわち良品とは限らない。

 

この記事を書いた人

CLUBER

Cultivator/ Yoshiaki Takanashi
ゴルフの雑誌作りに携わって20余年。独立起業してから5年が過ぎたモノ好き、ゴルフ好き、クラフト好き、信州好きな、とにかく何かを作ってばかりいる人間です。
ポジション・ゼロ株式会社代表/CLUBER BASE TURF & SUPPLY主宰/耕す。発起人
記述は2018年現在