ゴルフコースを表現するときに戦略的という言葉を使うことがあるけれど、個人的にはあまり好きでない。戦略、という言葉に持つ感情は人それぞれで違うのでしょうけれど、人々の争いを連想してしまうから。戦うとか略するとかの単語でない、べつの表現があればいいな、といつも考えている。
先人の暮らしに根差したこの石塀は壊されることなく今もなおノースベリックに息づいている。港にほど近いこの場所で家畜を育てたときに作られたもの、これを利用した13番ホール、別名Pit。ゴルフを楽しむために利用する人々が壊すことなく後世に石塀を残すための工夫が素晴らしい。
石塀の反対側にある縦長のグリーンはやや窪地になっていて、いやらしいバンカーなど存在しない。ただそれでも十分過ぎるほどの頭脳プレイを要求するホールに仕上げられている。ティーショットを遠くまで飛ばせば飛ばすほどグリーンの奥行きは狭くなり、塀に寄るほど高い球を要求するようになる。人の暮らしの歴史まで生かしたところがまた素敵な演出だ。