重ヘッドドライバーの振りやすさを求め、シャフトを極端に短くしていった時期があった。ヘッド重量が200g前後なら、私の力量では「40インチ」くらいじゃないと気持ちよくクラブを振れない。そんな結論だった。
その後、185gのヘッドが開発され、長さは43インチにまで回復した。たぶん42インチ位がちょうどだが長めを短く持って打つのもいいかなと思ってやっている。
このように、振り心地を中心に据えて考えていくと、ヘッドの重さによってクラブの長さは大きく変わってくる。重たければ短く、軽ければ長くてもいける。それがヘッド重量と長さの関係性だ。
もうひとつ、長さを決める要因がある。それがヘッド体積だ。現在のドライバーは45インチ前後が主流だが、1995年くらいまではドライバーは43〜43.5インチだった。なぜならドライバーのヘッド体積は長らく200cc未満だったからだ。
1995年にキャロウェイのグレートビッグバーサチタン(250cc)が登場して、翌年には290ccのビゲストビッグバーサが誕生した。この時ドライバー長さは46インチまで長くなった。それはなぜか? 通常の長さ44インチではヘッドが大きすぎて構えた時に「気持ち悪い!」と言われたからだ。ずっと200cc未満のクラブでゴルフをやってきたベテランプレーヤーたちは、突如大きくなったドライバーヘッドに拒否反応を示した。だからキャロウェイは、ビゲストの次のモデル「グレートビッグバーサ ホークアイ」で体積を250ccに戻したのだ。
同じ大きさのヘッドでも、シャフトが短ければ大きく、長いほど小さく見えるものである。
これは個人的な考えだが、ゴルファーにはそれぞれ安心感を抱くアドレスでのヘッドの大きさがある。視覚的な適正ヘッドサイズである。
振りやすさを求め40インチの長さにしても、ヘッド体積460ccではいかにもアンバランスだ。40インチで視覚的な適正サイズを考えると、ヘッド体積は200cc以下ではないかと思う。短尺化すれば打ちにくかった460ccドライバーが打てるようになる、というものでもないのである。
シャフトが短くなれば、ボールとの距離が近くなる。近くなればライ角がアップライトになる。そして重心距離もあまり長いものはNGになる。長さに応じたヘッドの大きさ、角度、重心設計が必要なのだ。
逆に言えば、重心距離が長い最新460ccヘッドの場合は、ライ角もフラットでシャフトも一定以上長い方が操作しやすいだろう。ヘッドの重さは使う人に合わせて軽くできた方がいいと思うが、長さは見た目と重心距離が変わらない以上あまり短くしない方がいいはず。460ccならば、短くても44インチくらいでないと構えた時に気持ち悪いのではないかと思う。
43インチくらいの短尺スチールドライバーを作る場合は、個人的には320ccが大きさの限界だと思っている。
なんでもシャフトを短くすれば解決するわけではない。重さに沿った長さ、大きさに適した長さ。長さに適した重さと大きさがある。そのバランスを見つけるのが、クラブ選びだと思う。